ビル・ウィルソン師 宣教の現場からの最新情報(2019年5月)

ケニアのスタッフからの現地報告を受けて、私は『わが心の目を』という賛美の歌詞を思い浮かべました。

ケニアでは各地の小学校と協力して子どもたちの支援を行っていますが、ある日、学校から帰ろうとしたスタッフのもとに女の子が駆け寄ってきました。女の子はこらえきれない様子で泣いていたので、何があったのか確認しようとスタッフは車を止め、彼女のそばで、取り乱している理由を探りました。

 

感情が抑えられないほど混乱していたその女の子はソフィアと言い、こんな事情を話してくれました。「父親に虐待されている」「父親は家族を養う気がない」…そして、学校に行くのに必要なお金が欲しいと言ったソフィアを、「殺すぞ」と脅したと言うのです。ソフィアによれば「お父さんは私のことが嫌いなの!」ということでした。

その日、道ばたで一緒に座って話をする中で、ソフィアは母親のことも話してくれました。母親は家族で唯一の稼ぎ手ですが、体調が悪くなり、これ以上は働けないとのことで、ソフィアはこう言って泣きました。「お父さんは私たちに『出ていけ』って言うの…『路上生活でもしろ』って。私たちには食べるものさえない…」こんな小さな女の子に、何という過酷な重荷でしょうか。もう、自分の人生はおしまいだ、とソフィアは感じていました。しかし、学校でメトロの日曜学校に出席して「この人たちに助けてもらおう」と思ったのだそうです。

私がこの働きを始めたのは福音を伝えるためです。一言で言えるほど単純明快です。しかしその後の展開を見ていると、福音は実に様々な形を取っていると思われませんか? もし私たちのスタッフが「心の目」を閉じていたら、ソフィアが困っていることにも助けを求めていることにも気づけなかったでしょう。メトロは、ソフィアのために祈り、慰め、食料品セットを家に持参して、安心して食べられるように、また、学校に行くように、励ますことができたのです。母親が言いました。「今朝、祈ったところだったのです。家族を食べさせるものがもう何もありません、と…」

 

今月号のメトロ・レポートをお読みになって、世界各地の子どもたちを助ける手段がいろいろあることをご理解いただければ幸いです。

Won-by-One」という里親制度では、極貧状態にある子どもたちが求めている基本的な支援(ケニアでの食料品セットやフィリピンでの学費など)を提供しています。それだけでなく、子どもたちのための祈りや文通を通じて交流を深めるなど、さらに意義深い関係を持つことができます。

そして、サマーキャンプです。子どもたちがまったく新しいレベルで神と出会えるよう、参加支援をしていただくことができます。さらに多くの「ソフィア」を助け、「心の目」を開かせるために、ご自分が関わる方法を考えながら読んでください。

異なる視点で物を見、何かを変えることのできる人が一人いればそれでよいのです。思い出してください。私がその「一人」によって人生を変えられた大勢の子どもたちの一人であることを。それは、「一人」が私を見つけたことに始まったのです。

そういうことなのです…これまでも、これからも。

 

ビル・ウィルソン