フィリピン視察ツアーのご感想(2017年4月) (その2)

4月6日~9日にかけて開催しましたメトロ・フィリピンの現地視察ツアーにご参加くださった方のご感想、第2弾です。

梅垣博美様からのご感想

この度はフィリピンメトロの訪問企画をして頂きありがとうございました。里親を始めて3年、一度会いに行きたいねと、よく夫婦で話していました。ビル師が同行出来なくなって、企画が現実になることが難しくなったと思われ、どうなるんやろう、という心配がありましたが、万代師と三木さんが重荷を持って企画して下さり、本当に素晴らしい旅となりました。心から感謝しています。

フィリピンは事前情報から危険やと聞かされていましたが、主は何事もなかったという奇跡を与えて下さいました。全く平安な中での旅になったのは、主とメトロのスタッフの守りの中にあったからやと思っています。このこともホンマに感謝しています。

今回の旅で私たちの最大の目的は里子に会うことでした。今まで手紙のやり取りはしていたのですが、やはり百聞は一見にしかずで、行けて良かった。というのが素直な感想です。

彼女はとてもシャイな子で、プレゼントを渡した私たちに対して戸惑いを隠せないようでした。でも、一緒に食事をした後にスタッフを間に会話をすることが出来ました。そして、彼女には夢があることがわかりました。これからもその夢の実現の一助を担えたらイイな、と思っています。

また、彼女が本当に信仰を持っているのか、ということも関心事でした。これもまた、メトロの優れている部分だと確信します。子ども達を把握し、訪問し、ハグして愛を示し、しっかり福音を語っていくその姿勢は本当に教えられることばかりでした。

里子の住んでいる地域を担当しているスタッフを見た彼女の顔が急に輝いた様を見て、彼女はホンマにそのスタッフが好きなんやなぁ、と知り、そのスタッフにそれを伝えました。すると、そのスタッフは「あなた方が書いている手紙を持って彼女に会いに行くようになってから、彼女は引っ込み思案から少しずつ変えられ、とても明るくなっていったんだよ。」と教えてくれました。

お互い拙い英語のやり取りだけで、どんな風に思っているのだろうか、ホンマに気持ちは伝わっているのか、など思っていましたが、スタッフが足を運ぶきっかけになってることを知り、また彼女が明るくなっていってる話しを聞いて、主にあっては何一つ無駄なことはなく、全てを用いて益として下さる主を賛美しました。

出会った2日目のサンデースクールの時には彼女から傍に寄って来てくれました。主人の足にまとわりついている彼女を見てどれだけ嬉しかったか。楽しくサンデースクールに参加している姿も見て主に感謝しました。チャンスがあれば、再び会いに行きたいです。

最後に、里親として私たちが出来ることはホンマにわずかかもしれませんが、主の名によってメトロのスタッフと一つになって1人の人生に関わることの出来る恵みをぜひ多くの人に味わってほしいと思います。メトロの働きが更に祝福されることを祈ります。

 

梅垣秀人様より(梅垣様ご発行のHeavenのニュースレターより一部転載)

実は2年ほど前から、いわゆるフォスターペアレントという海外の発展途上国などの子供を支援する里親制度に入りました。私たちは今回、そのフィリピンのメトロ・ワールドチャイルドのマニラ支部を訪問したわけです。このマニラ支部ではマニラ市内の数か所のスラムで5人ほどの専属スタッフとマニラ市内の教会からくるボランティアたちで路上日曜学校(サンデースクール)を実施している。世界中からクリスチャンのボランティアが研修生として来ています。

私と妻の目当ての一つは自分たちが里親になっているジョランという子に会うことでした。外国語での手紙のやり取りだけではわからないので、実際どんな環境で生きているのか知りたかったのです。両親は離婚していておばあちゃんと暮らしていました。最初に案内されたスラムで彼女と会ってプレゼントを渡すことができ、家族とも一緒に食事することができました。ジョランは私たちの支援で学校に行っています。

このスラムはほとんどが3畳から6畳くらいのべニアとトタンを組み合わせた粗末な建物の部屋に、家族4~10人も一緒にすし詰めで住んでいるところです。

メトロのスタッフの半分はこのスラムで生まれ育ち、自分たちも大人になって同じ境遇の子供たちを助けるために毎日このスラムに入り、家庭訪問を続けています。スラムの人々は仕事がなく多くがゴミの山からごみをあさって、売れるものを分別して一日500円ほどの収入を得てそれでその日暮らしをしている人々です。だからスラムの子供たちは学校にも行けません。メトロはそのような子供たちを探し出し、海外の里親に紹介する仕事をしているのです。学校を卒業できれば何らかの仕事にありつけスラムから出ることもできます。でなければ一生ゴミ拾いか、売春や麻薬の売人になって行くしか生きる道がありません。つまりメトロは子供たちの未来を大きく変える活動をしているのです。

メトロのサンデースクールは、子供たちの教育や生活支援を支えるだけでなく、その根本にあるのはキリストの福音を伝えることです。創始者であるビル牧師が世界の最も危険な地域に乗り込んで子供たちを救出しているのは、自分がその境遇から救い出してくださった神様に対する畏敬の念と愛からです。

私たちの参加した最初のサンデースクールは、なんと墓場に住んでいる子供たちでした。ホームレスが墓場に住み着いてブルーシートなどを張って雨露をしのいでいます。大人が等身大の墓石の上で昼から横になって寝ていました。奥には人間の骨が捨てられていました。

スクールのチラシを1時間ほど前から配って歩き、子供たちが集まってきます。子供たちにはお菓子やパンの配給、炊き出しなども行いますが、日曜学校を通して歌やダンス、ゲームで楽しむだけでなく、同時に規律を教え、神様からくる愛と希望を教えます。

この日はスタッフによるディズニーの「美女と野獣」の劇と、イースター(復活祭)前でしたので、イエス・キリストの復活の話がありました。 イエス様が私の罪を背負い、身代わりに十字架について死んでくださったこと。三日目に復活されたこと。悔い改めて心にイエス様を受け入れるなら神の子供となれること。生涯自分を支え導いてくださることなど、神の愛と希望を知ることになります。

子供たちはみんな祈り、中には突っ伏して泣いて起き上がれない子もいました。私自身が離婚して子供を引き取り、キリストの福音によってその後の人生を神様に支えられてきたものですから、その気持ちがよくわかります。貧しい境遇にある子供たちにとって信仰がどれほど心の支えになるかは、生活に恵まれ、困れば生活保護もある普通の日本人には、なかなか想像つかないものかもしれません。

三日目はスモーキーマウンテン(ゴミの山)のふもとにある団地のバスケットコートでのサンデースクールでした。一回の集会に100人から400人の子供が集まります。メトロのスタッフは子供たちに大人気です。スタッフに子供たちは駆け寄り、ハグします。この日は教会のボランティアたちによってパスタスープが配給されました。団地の裏はごみの山です。フィリピンでは主要産業がなく、国民の多くが国外に出稼ぎに出ます。しかしそのお金もない人々はこのゴミの山でごみを分別して売り、その日一日の家族の糧を得ているのです。

しかし私たちが救われたのは、子供たちはみな輝くような笑顔で、屈託がなく人懐っこいことです。どこでも子供たちは手を振りハイタッチしてきます。それもメトロのスタッフたちが10年もかけてこの地域に築いた信頼関係からきているのかもしれません。

スタッフはほとんど20代で若いのですが、多くがこのスラムで育ちメトロのサンデースクールで救われてこの活動に入ってきたボランティアたちです。彼らは本当にパワフルで献身的です。また海外の研修生には日本の教会から来た藤林パウロ君や宣教師の娘として長野県で生まれたアメリカ人のハンナさんなど日本語のしゃべれるスタッフもいました。

ハンナさんは子供のころ日本でいじめにあい、自分に自信のないことに長年悩んでいましたが、ビル・ウィルソン牧師と出会いメトロに参加、25歳の時すべてを捨ててスーツケース二つだけ持ってこのマニラにやってきました。今では大渋滞のマニラ市内の車を縫って大型車を運転し、スラムの奥の奥まで入って行って、子供たちに声をかけ、親たちに信頼されています。そして子供たちと私たちの橋渡しをしてくれています。

さて、私たち日本人はどうでしょうか?

日本は恵まれた国です。確かに障害を持つ人や社会的弱者はいます。しかしそれを支えるのは国がやればいいんだ、そんなことは国がやることだと思い込んでいないでしょうか?自分のお金を使い自分の労力を使って人のために何かをする。

そんなことよりも自分のことだけ考えて人は人、おれは俺という風になってきていないでしょうか? フィリピンは貧しいです。しかしどんなに貧しくても家族を大事にします。みな寄り添って生きています。子供がとっても多いです。スラムでも福祉に頼らず生きているというたくましさを感じました。

最後に引率してくださった松山福音センターの万代栄嗣牧師に感謝です。