児童労働を止めるためにできること(2017年3月)
私は、この5年ほどフィリピンに住み、極貧のスラム地区で生きる子どものために、メトロの道端教会学校の活動を行っています。
フィリピンのメトロの教会学校は、毎週20,000人以上の子どもに福音を伝え、個人的な関わりを持っています。望みのない地域に希望を運ぶことが私の仕事であり、私が切望していることです。
私たちの知らない児童労働の理由
ここに来る以前、人件費削減の手段として児童労働が行われているという新聞記事を読んだことがあり、低賃金で子どもを働かせる大企業に対する当然の憤りを感じていました。しかしフィリピンに来て、私は児童労働の実情を知りました。
交通渋滞の車に近寄り、水や清涼飲料を売る子どもやペットボトルや鉄釘を探してゴミ捨場を裸足で歩き回る子どもたちを見かけます。彼らが集めた釘は、1キロあたりわずか5円ほどで買い取られます。50円に満たない花を売るために歩き回る子どもたち、ハマグリをとるために1日中海岸にいる子、午前3時からお母さんの焼いたパンを売り続け、ようやくその日に必要なお金を稼いでいる子どももいます。
悪徳企業が彼らを搾取しているのではなく、ただ家族が生きるために苦闘しているのです。学校から帰った後や週末に働く子もいますが、学校に通わずに働く子どももいます。
私たちはしばしば、海外から来られた方々に、なぜ教育支援が必要なのかを問われます。公立学校の教育費は無料だからです。しかし実際は、お金が必要なのです。制服は必ず準備しなくてはなりませんし、靴や鞄、鉛筆やクレヨン、ノートなどの学用品はもちろん、給食費や様々な行事の費用、高学年は宿題のためにインターネット環境も必要ですが、何一つとして彼らには準備できません。学校に通うには、想像以上に費用がかかるのです。
やむを得ない選択
親が子どもを学校に行かせるために、1週間にわずか15ドルしか必要でなかったとしても、もしあなたが親ならば、5人の子どものひとりを学校に行かせるか、家族全員が食料にありつくかという状況で、どちらを選択するでしょうか? 答えは、実は非常に単純です。おそらくあなたは、家族を養うでしょう。子どもたちの将来のための「最高のこと」を望んでいても、ことは生きるか死ぬかの問題です。
道の側の小屋に住んでいる9才の男の子は、学校に行きたいと切望していて、将来は、フィリピンの大統領になりたいと言っています。その子は実際に非常に頭が良いのですが、両親をとても愛しているので、お母さんに「おかあさん、心配しないで」と言って、兄弟たちと家族のための糧を得るために出かけるのです。彼は働く必要を感じ、自分が働くこと(児童労働)の必要性を痛感しているのです。ほかにもたくさんの同じようなことに毎日出くわし、悲しみと憤りを覚えます。きっとあなたも同じでしょう。
自分自身のこととして
これを読んでおられる方の一部は、すでに子どものスポンサーだと思います。あなたのご支援に本当に感謝しています。皆さんのご支援がなくては、私たちの働きは継続できないのですから。
しかし、どうかこの状況をご自分のこととして受け止めていただきたいのです。この子どもの多くは、あなた自身の子どもさんやお孫さんと同じくらいの年齢ではありませんか?
私は、学校に行かない子どもに毎日会います。彼らは読み書きができません。自分の名前を書くことさえできません。なぜですか? 日本ではなく、フィリピンのスラム街に生まれたという理由で学校に行けないからです。
私たちにできる小さなことから
私たちスタッフは、毎日毎日、その子どもたちに望みを与えるためにスラム街に行きます。早朝から晩まで、熱心に活動していますが、彼らの未来に希望を与えるためには、あなたの助けが必要です。ご支援いただくために、好きなことを我慢したり外食を控える必要があるかもしれません。しかしそのことで、彼らに学校での学びの機会を与えることができ、その結果人生を文字通り造り替えることができるのです。私たちがやらなければ、他の誰もしてはくれないでしょう。彼らが、今まで通りの屑拾いで一生を終わるか、高校を卒業して仕事に就くことができるか、大変な差です。
スポンサーになることが難しくても、一時的な寄付なら可能かもしれません。私たちには、それぞれに賜物があり、それを用いていただきたいのです。
世界中の現実的な問題を今すぐ、すべて解決することができないのは事実です。しかし、多くの人々が、小さな部分に変化を起こすなら、最終的には驚くほどの結果を生み出せます。
―ハンナ・ロビンス