メトロ・フィリピンの インターンシップ(研修)に参加して(2018秋)(その3)

2018年秋にフィリピンでインターンシップに参加されました高嶋千絵様からのレポート―その3

家庭訪問「縁の下の力持ち」

メトロは毎週金曜日に家庭訪問を行なっています。教会学校に来ている子どもたちの家庭を訪問していき、保護者との交わりをもち、信頼関係を深めていくのです。これを一番大切にしているのだとスタッフの方は話しておられました。

スタッフと研修生は、それぞれ担当エリアがあり、毎週同じ地域を訪問します。私の担当地域はグリーンビルディングというところでした。世界10大スラム街のひとつ、あのスモーキンマウンテンにあります。衛生面では最悪の場所であるとのお墨付きでしたが、私はここが大好きで、今でも夢に見るほど神様の愛を体験した場所です。

私たちが着くと、子どもたちは全力で駆け寄って来て、体当たりしてきます。よじ登り、首を絞め、最後に押し倒す…彼らの愛情表現です。「千絵、今日はどこから行く?」と訪問先の家を案内してくれる子どもたちが、どこからともなく、たくさん集まって来て、私たちはいつも可愛い案内係に囲まれていました。家から家へ行く途中「道端教会学校だよー!」と大きな声で宣伝しながら、チラシを配ることも大切な働きでした。

ある日、10歳くらいの女の子が赤ちゃんを背負いながら、両手に四人の弟妹を連れて家に帰ろうとしていました。「大丈夫?」と私が声をかけると、彼女は驚いて立ち止まりました。彼女の足元は血だらけでした。何があったのかは言いませんでしたが、言いにくいことがあったのは確かで、私はその子の足にバンドエイドを貼り、手を置いて祈りました。彼女は照れ臭そうに「ありがとう!」と言って帰って行きました。その翌日の道端教会学校に、その女の子が来ていました。そして「お祈りしてくれてありがとう、すっかり良くなった」と話してくれました。

しかし、その子の足にはまだ血がついていたので「まだ痛そうじゃない」と私が言うと、そばにいたその子の母親が言ったのです。「この子が良くなったのは心。この子のために何かしてあげたくても、何もしてあげられなかったけど、祈ることはできるのね。今度は私があなたのために祈るわ。」

家庭訪問ならではの恵みです。家庭訪問は、個人と個人のつながりを大切にする現れです。そういえば、イエス様も家庭訪問をしていたなと思いつつ、神様は効率の良い方法ではなくて、地道に働くことを望んでおられるのかもしれないと思いました。愛がなければなんの意味もないことを心に留め、小さなことに大きな愛を込めて行いました。メトロの家庭訪問は、働きとしては派手ではありません。でも、子どもたちとその家族との信頼関係をキリストの愛によって築き上げる、縁の下の力持ちです。

「千絵、運転できるの?」「できないよ」「きゃーこわい!」「本当に日本人?」「私の心臓には毛がはえてるんだよ」「え、見たい!」こんなことばかり話して、毎日幸せでした。

 

里親制度 「私たちのスポンサーチャイルドは、しあわせ。スポンサーは、もっとしあわせ。」

これをお読みの大半の方は、里親でしょうか。私はメトロの研修生でしたが、里親でもあります。今回は研修に集中したかったので、自分のスポンサーチャイルドには会いに行きませんでしたが、里親制度の働きには、たくさん参加させていただきました。

みなさんにもクリスマスカードは届きましたか? 私は毎年、楽しみにしていますが、なんと研修生は、そのクリスマスカードの仕分け、配送のお手伝いをすることができるのです。

子どもから里親へのクリスマスカード:自分も貧しいのに、スポンサーをするフィリピン人もたくさんいるのです。

「Japan」という字を見つけるたびに、「わたし? わたし?」と心が踊りました。何万枚の中から自分へのカードを見つけることはできませんでしたが、友だちへのカードを見つけることができて、大興奮!とても幸せでした。

他の国にくらべて日本人スポンサーの人数は多くありません。文化の違いやクリスチャン人口が影響しているのかもしれません。だからこそ、すでにスポンサーになっている日本人のみなさんは大変貴重で、そして知ってもらいたいのです。私たちのスポンサーチャイルドは、現地スタッフと海外から集まって来る奉仕者の献身的な働きによって、守られ、支えられ、育まれています。ほんとうに感謝です。

里親からのクリスマスプレゼント : 1万個ほどのプレゼント。全部、メトロのバッグに入れて子どもたちの名前を書き入れます。

クリスマスプレゼント、クリスマスディナーを用意し、分配し、運搬するのは想像を絶する作業です。腰や背中、足を痛める者、手の皮がむける者もたくさんいます。でも、彼らは笑顔でこう言うのです。

「子どもたちのためにこれだけのプレゼントを用意できるのは幸せだし、里親が『贈ってあげたい』と思ってくれるのも嬉しい。だから、僕たちは大変だけど幸せだよ。それより、里親のみなさんが、子どもたちが書いたカードを見てどう思っているのか心配なんだ。彼らは何を書いたらいいのかわからないし、クレヨンだって持っている子はあまりいない。机がないから地面で書く。どうしても素っ気ない仕上がりになってしまうんだよ。」

私たちが贈るカードやプレゼントは、このような誠実な彼らによって届けられています。受け取った子どもたちはほんとうに嬉しそうで、中にはプレゼントを抱きしめて一晩中離さない子もいるそうです。でも、その喜びや感謝の気持ちをスポンサーに伝えるのは、なかなか難しいです。私と同じ部屋に寝泊まりしていた研修生が言いました。

「あなた、里親をしているの? うちはとても貧しいから、私の弟は違う家にもらわれて行ったの。家族バラバラでとても寂しいけど、私の弟にもうすぐメトロの里親がつくかもしれないの。そうしたら、また一緒に住めるかもしれない。私たちは、ほんとうに里親に感謝しているのよ。」

受けるより与える方が幸い! プレゼントや生活費を贈るだけでなく、とりなしの祈りもしっかり日々の祈りに加えていこうと思います。

子どもたちの労働は夜明けから : スラム街の子どもたちは、朝早く起きて家族のために働いています。

次号へ続く(いよいよお別れの時を迎えます)

メトロ・フィリピンの インターンシップ(研修)に参加して(2018秋)(その4)はこちら

インターンシップを体験しませんか?

インターンシップのご報告はいよいよ来月で最終回ですが、あなたもぜひ体験してみませんか?

こんなに素晴らしい時間が持てることは、人生でなかなかありません。

2019年度秋のインターンシップもアメリカ・ニューヨークとフィリピン・マニラで開催されます

研修期間は4ヶ月間で、日程は下記の通りです。

ニューヨーク

日程:2019年8月13日(火)~12月19日(木)

フィリピン

日程:2019年8月25日(日)~12月17日(火)

ご希望の方には詳細をお知らせしますので、日本事務所まで資料をご請求ください。

お問い合わせ、資料請求は TEL03-3561-0174, メール metrojapan@mission.or.jp