フィリピン視察ツアー(2019年春)のご感想②(2019年7月)

今年の4月4日(木)~7日(日)に開催しましたメトロ・フィリピンの現地視察ツアーにご参加くださった方々のご感想をお届けしています。

古瀬秀泰様

17年前のリベンジとして
桜の満開の日本・福岡から、真夏のフィリピン・マニラへと大きな期待と若干の不安を乗せてのメトロ・ワールド・チャイルド・フィリピン視察ツアーでした。

関西空港から4時間余りのフライトの後ニノイ・アキノ国際空港へ。飛行機のタラップを降りると南国特有のムッとした空気が私を出迎えてくれ、たちまち17年前の記憶が鮮明に呼び起こされました。

私には2002年3月以来のフィリピン・マニラでした。当時はNPO法人の仕事でマニラを訪れていました。当時のマニラは、陽が落ちると街灯も少なく街の中心部でも暗く治安が悪くてあまり良い印象がありませんでした。

とりわけつらかったのは、交差点などで車が止まるとストリートチルドレンの子どもたちが駆け寄ってきて、物乞いや物売りをすることでした。車外へ出る事は禁止されていましたので、何もできない無力感のまま帰国しなければいけませんでした。今回のツアーには、その時のリベンジの意味もありました。

さて、今回のメトロのマニラツアーはどうだったでしょう。
まず、空港では長野出身で日本語ペラペラのアメリカ人のハンナ姉の出迎えを受け、空港の近くにあるメトロの事務所を訪問しました。施設の案内の後にメトロ・フィリピンについてのオリエンテーションを受け、スタッフの方々の献身的な働きを知りました。

 

初めて子どもに会って
翌4/5は楽しみにしていた、私がサポートをすることになった女の子との面会です。

ショッピングセンターで待ち合わせたところに、現地の教会スタッフとおばあちゃんと一緒に来てくれました。ジョリービーでの食事とお買物、そして日本からのお土産を渡して楽しく過ごしました。

最初は恥ずかしがっていたのですが、最後には手をつないで歩くほどに打ち解けてくれました。フィリピンに孫ができた気分です。

それから、一緒に家庭訪問をし、お母さんやお姉さんにも会え、歓迎していただきました。住まいは、長屋のような水道のない市営の住宅で10畳ぐらいの部屋が2つでそれぞれに5人ずつの家族が住んでいるのだとか。前の路地に椅子を出して接待してくれました。お姉さんもサポートを受けているそうで、仲の良いご家族のようでした。

別れを惜しみつつも午後は渋滞の中ノースセメタリーにあるマニラで一番の墓地の側でやっている日曜学校へ。すでに150人ぐらいの子どもたちが集まっていました。

 

ショッキングな現実とメトロの日曜学校
礼拝終了後に墓地の中を案内されたのですが、ここにはたくさんの人が住んでおり、その光景はなかなかショッキングなものがありました。ここの子どもたちは墓地で生活をしているのです。夜は、昨年ここでインターンシップをされ、今回は私たちの訪問のサポートをかねて、ご自分のサポートしている子どもに会いに来られていた高嶋千絵姉妹を交えての食事会と盛沢山でした。

4/6は、朝早くから最初のスラムへ、ここは広場の側を列車が通っているところで教会学校を開きます。
まずは朝からスラムの中を廻って「グッドモーニング、サンデースクール!」と呼びかけていくと、子どもたちや住民の人々が笑って迎えてくれます。最初はこわごわと声をかけていたのですが、段々と調子が出てきます。100人ぐらいの子どもたちが集まると、フィリピン国歌の斉唱から日曜学校が始まります。
劇や踊りを交えた約1時間の集会が終わると、最後にお菓子の配給があります。ここで,同行された姉妹たちが日本から持参の飴のお菓子を配ったところ、子どもたちに大人気でした。

次は、スモーキーマウンテンと呼ばれていたゴミの山のスラムを整備して横に建てられたビル群(世界10大スラム街の1つだそうです)の中にあるバスケットコートへ移動しての日曜学校の開催です。

今度は5階建ぐらいのビルの中を縦横に移動しての勧誘です。もちろんエレベーターはないので、階段を上がったり下りたりして声をかけていくのですが、中は薄暗く一人では怖いくらいです。ですが、このスラム出身のメトロのワーカーさんたちが先導してくれますので、安心です。

ビルの中には、たくさんの住居やサリサリストアがあって大人も子どもも踊り場や通路で食事をしたり、洗濯をしたりと生活感満載の場所です。

200人ぐらいの子どもたちが集まって、午後の第1回目の日曜学校はここで始まりました。それが終わると、協力教会の方たちの食事の配給(豆のスープ)があって、私たちも教会で昼食とミーティングです。

教会は、先ほどのビルの中の住居と同じ区画にあります。同じように、狭いところですが、そこに数十人が入って、わいわいがやがやとにぎやかなものです。このスラム出身のワーカーさんたちはいつもここで過ごしているのだとか。賛美で大きな音を出しても、お互い様で苦情もないそうでまさに生活の一部になっているようです。

次の教会学校は、同じ地区にある別の広場で始まり、あっというまに300人位の子どもたちが集まりました。ハンナ姉とワーカーさんたちで、ゲーム、賛美、踊り、祈り、劇、そして最後のお菓子の配給と進めていきます。

今回いいなと思ったのは、このワーカーさんたちの働きでした。もちろん、メトロのスタッフの献身的な働きや指導があってのことなのですが、日曜学校へ来ていた子どもたちが大きくなって、中高生ぐらいになり、ワーカーとして今度は指導する側に回ります。恵みと伝道の循環を感じます。

最後の日は、朝からマニラの大教会のひとつNEW LIFEへ。ここは、昨日までとは全く別世界の、劇場のような会場で、カフェテリアもある立派な教会でした。ここでも皆さんに歓迎していただきました。

 

数年後の再会を楽しみに
このように、今回のマニラ訪問は17年前とは打って変わって素晴らしいものでした。ストリートチルドレンの姿を見ることもなく、治安も格段によくなって、街も歩けますし、人々の顔にも明るさを感じます。貧富の差はまだまだ大きく、スラム街もたくさんあるのですが、日本が失ってしまったアジアの街の若いエネルギーを感じますし、何より子どもたちの人なつっこい笑顔が印象的です。数年後、また訪れてサポートをしている子やワーカーさんたちの成長を見るのが楽しみになりました。

道端教会学校の現地訪問、絶対おすすめです。現地の人々と生での触れ合いができ、サポートの意義を実感できます。

 

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