スタッフが見るスラム フィリピン(2021年9月)
先月に続き、貧困地域であるスラムについてお話しします。今回は、アメリカとフィリピンについてです。
《フィリピン》
あらゆる場所が、不法占拠のスラム街になり得ます。墓地や建物のすき間、空き地、漁港…。通り全体が、スラムになることさえあります。
スラム街の住人たちの中には怠惰な人もいますが、ほとんどの人が一生懸命働いています。
例えば、早朝からごみ捨て場に行き、売れそうなものを探し始めます。早く行かなければ、高く買ってもらえるプラスチックや金属類は無くなってしまうからです。
そして日中は家に帰って寝ますが、多くの人は水を運んだり、建設作業を行ったり、お店で働いたりと、別の仕事を持っています。
しかしそれらは、とても「仕事」と呼べるようなものではありません。最低賃金以下の低賃金で、休憩なしで1日12時間、週7日労働にもかかわらず、1日の報酬がたった3ドルから5ドル程度です。
学校を卒業していれば、飲食店やマクドナルドなど、少し条件の良い店で1日10ドルほどを稼ぐことができるかもしれません。
フィリピン人にとって、家族は世界で最も大切なものです。彼らは大変な家族思いです。そのため、せっかく大学を卒業してマクドナルドでの仕事を得たとしても、スラム街に住み続けることになります。
スラム街に住みたいからではなく、収入の10ドルを、スラム街に住む家族を養うために使うからです。これが、世代を超えた連鎖から脱出することが非常に困難な理由です。
学校を卒業していなくても、働くための倫理観を持っている人や賢い人もいます。しかし残念ながら、本当に「仕事」と言えるような職業に就くことはできません。
またスラム街の住人たちのほとんどは学校教育を受けていないため、学校に行くことの価値を理解できず、ますますスラム街の連鎖が続いていくのです…。