ビル・ウィルソン師 宣教の現場からの最新情報(2018年4月)

チェリーの顔を見ようとしても本人は恥ずかしさで顔を伏せるばかりでした。そしてそれがなぜか、すぐにわかりました。マニラの墓地で日曜学校を行っている時、メトロスタッフが私のもとに連れて来たのがチェリーです。スタッフから状況を聞いた私は胸が張り裂けるような思いをしましたが、今読んでおられる多くの方々も同様でしょう。あれから9カ月、私がチェリーの話をするのをお聞きになった方もいらっしゃると思います。

その小さな女の子の一家は墓地で、遺骨が散乱する中で暮らしていました。ある日チェリーは下半身のほとんどを覆う重度のやけどを負い、そのいきさつは耳を疑うようなものでしたが、背景を探ろうと話を聞いているうちにだんだん事情が見えてきました。

虐待、栄養失調、蔑み…チェリーが受けてきた不当な扱いは耐え難いものだったのです。彼女の腸は生まれつき発達が不十分で、医師の診断では直腸機能不全または先天性の肛門機能不全とのことでした。医師はチェリーの脇腹に穴をあけ、週一度の通院でその穴から管を通して排泄物を体外に排出する処置を行っていました。毎週毎週、そして何年も何年も、脇腹に穴の開いた状態で生きてきたのです。そんなチェリーは、墓地に住みついている不法者からも、のけ者にされていました。

その時、シンガポールからマニラを訪問している女性がいました。彼女はチェリーのスポンサーになって、チェリーがいつか人並みの生活を送れるようになるため必要なことは何でもすると心に決めました。そこで私はシンガポールの教会やクリスチャンの医療関係者に連絡を取ったのです。いずれも、成功するかどうかわからない手術に挑む熱意を持った人たちで、この計画はすぐに実行に移されました。まさにパートナーシップが実って現実に働いた瞬間…。この小さな女の子のスポンサーは、クリスチャンの執刀医、ドナー、看護師、麻酔医、皆と協力して、自らの問題として関わったのです、皆、口を揃えてこう言いました。「絶対に助ける、何としても」。皆さんもご承知でしょう?そしてこれは私がいつもメトロ本部のスタッフに言っていることでもあります。あなたには大きな変化をもたらす可能性が十分あるが、生半可な気持ちで結果を出すことはできない、と。それからわずか2、3週間後、私たちは手術のためにチェリーをシンガポールに連れて行きました。

医師団が様々な検査をした結果、当初、手術は困難と思われました。チェリーの肺にはおぞましいほどの寄生虫がはびこっていたからです。ちょうどこの写真にあるような状態でした。しかし世界中の人々が奇跡に期待して祈ると、期待通り神は、決して諦めない素晴らしい祈り手と医療スタッフを用いてその力を現してくださいました。全ての栄光を主にお返しし、ご報告します。手術は驚くべき大成功だったからです。

幼いチェリーはマニラに戻り、2018年という新しい年を迎えました。チェリーは生まれ変わったのです。すべてが変わり、今では普通の生活を送っています。

 

(現在のチェリー)

皆さん、どうか私の思いを聞いてください。これこそが、メトロ・ワールド・チャイルドが創設以来行ってきたことなのです。これからも私たちは、誰からも相手にされないチェリーのような子どもを探し続けます。そして、力を貸してくれ、子どもたちを支え、子どもたちの人生にとって不可欠の存在となるスポンサーを求め続けます。皆が一体となれば、とてつもない力が発揮されるのです。福音の力を実体験できるのです。

ロナルド・レーガン元大統領はよく言っていました。「何もかもできる人はいない。しかし何もできない人はいない。」私自身も今の自分の働きを行うことはできる。しかし皆がそれぞれに自分の役割を果たし、何かを行うならば、それが本当の変化の始まりなのです…この小さな女の子の人生が変わったように。さあ、新しい年です。これまでスポンサーになる機会がなかった方も、この機にどうかご検討ください。あなたには、ご支援を通してひとりの人の人生を変える力があるのです。命を救い、人生を全く違った方向に導くことになるのです。

メトロレポートのこの記事をお読みになり、あなたの惜しみないご支援によって、今、そして将来にわたって子どもたちの人生が変わっていくことをご理解いただければと思います。SNSや教会、さらには職場の同僚など、周囲の方々に、チェリーの体験や写真も用いて、子どもの人生に変化をもたらすことができるチャンスをどうか伝えてください。今こそその時です。そのための必要はとんでもない規模です。私もよくわかっています。この子たちが絶望のうちにあると言った人たちがいますが、絶望しているのではありません。希望を持てないだけなのです。だから、私たちが協力してこの希望のメッセンジャーとなるのです。あなたに代わって私たちが子どもたちのもとに行きます。世界の中で、普通の人たちが決して行きたがらないような地へ行くのです。そう、シリアで銃撃に遭ったのはそのためですし、危険は百も承知です。

それでも今、この働きに人々が注目し多くの支援が集まりつつあります。これからも私が話すのをお聞きになる機会があるでしょう。チェリー以外にも、今年が素晴らしい年になるという女の子がいるはずです。あなたがたの多くが必要性を認識し、それをご自身の使命とされたからです。お礼の言葉もありません。

ではまた。祝福をお祈りします。

ビル・ウィルソン