メトロ・フィリピン視察ツアーのご報告(2017年4月)(その2)

美しく広大な墓地に住む人々

初日に訪れた墓地には、上流階級の人から貧しい人まで、あらゆる人々が埋葬されています。この墓地の入り口の広場で、メトロの道端教会学校を開催しています。広大な敷地の墓地には、柵で囲まれた屋根付きで、人が住めるほど大きな墓地から、コンクリートのロッカーが積み重ねられたような共同墓地まで、所狭しと建てられていて、入り組んだ迷路のようになっています。その隙間や、時には大きな墓地の中にまで、多くの貧しい人々が木っ端やぼろきれで囲いを作って住み着いています。

当然ながら政府は、この事態に手を焼いており、外部に知られることを好みません。そのため、ここでの写真撮影は厳しく規制されていますが、本来なら観光地になりそうなこの美しい墓地を撮影したいという衝動に誰もが駆られます。この後、迷路のような墓地の奥まで入り込み、そこで暮らす人々に会いましたが、撮影は危険すぎますし、スタッフもピリピリしていますので、残念ながら写真はありません。

3日目の活動

午前7時にホテルを出発して、マニラ北部へと移動し、まず午前8時半からの道端日曜学校に参加。河口近くのスラム街の一角で、子どもたちの数は100名あまりでした。場所を移して、午前11時からは、ゴミの山として有名なスモーキーマウンテンを移動させてできた団地の一角の屋根付バスケコートで開催される日曜学校に参加。300名ほどの子どもが参加していました。

昼食をショッピングセンターで簡単に済ませて、午後3時から、同じ団地内の別の地区に移動して、この日第3回目の教会学校に参加。ここでも300名以上の参加者だったのですが、途中、小さな地震に見舞われ、心配した親が迎えに来て、100名ほどが中座してしまいました。教会学校を早く終わらせる必要を感じたスタッフは、急遽、ゲームなどを省いて、福音のメッセージを中心とした短縮プログラムに変更。どのような状況でも、最も重要なことを見失うことのない、一貫した姿勢を実感しました。

一日を通して、子どもたちに向かうメトロのスタッフたちのエネルギーがものすごくて、とにかく感心! 信仰の熱意が、みんなほとばしり出ています。集会後も、周囲のゴミの収拾で生計を立てている人々の貧しさを目の当たりにし、川べりのスラムに立ち入ったり、スモーキーマウンテンに登ってゴミの山になお住み続ける人々の事実に触れて、一同、大きな衝撃を受けました。

 

予期せぬ地震発生でフィリピン人を知る

この日は、道端教会学校の開催中に地震が発生。と言っても、私たちには体感できないほどの微震。それでも震源地周辺では、建物が一部倒壊するほどの規模だったようで、ニュースでは、大地震が来るから注意するように、という緊急放送が流れたようです。それを知らない私たちには、教会学校の途中でぞろぞろと子どもがいなくなる理由がわからなかったのですが、親たちが子どもを迎えに来て、帰ってしまったのです。スタッフによると、今にも崩れそうなバラックの家よりここにいた方がよほど安全なのに、迎えに来るそうです。理由は、フィリピンの人々にとって、最も大切なのは家族であり、このような大変な時に、離ればなれでいることは考えられないからだということでした。

 

日本語通訳付で礼拝に出席

最終日の日曜日の朝は、午前7時にホテルを出発して、New Lifeでの午前8時からの礼拝に、みんなで出席。早朝の礼拝だから少なめかと思っていたのですが、それでも500名くらいは集まっていて、大変恵まれた礼拝でした。ポール・チェイス先生のメッセージもわかりやすくて、感謝でした。そしてここでもハンナさんが、すばらしい日本語に通訳をしてくださり、全員がメッセージを理解することができました。この教会は、メトロの協力教会の一つで、昨日の道端日曜学校の時の炊き出し、給食に協力してくれていますし、メトロのフードトラックをいつも運行してくれている教会です。今日も教会の前に、フードトラック(キッチンカー)が止まっていました。

手頃な広場がある理由

フィリピンには、メトロが教会学校を開催するために、大変手頃な広場が、不思議なくらいたくさんあります。それは野外バスケットコート用の広場です。スポーツ振興によって、若者や子どもの犯罪を防ごうと考えた政府が、ボールひとつでできるスポーツ、バスケットを選び、あらゆる場所に広場とゴールを設置したのです。教会学校が終わると直ぐに、子どもや青年が集まってバスケットを始め、私たちにも参加するよう親しく声をかけてきます。日本では見られなくなった、子どもたちの人なつっこさに嬉しくなって、思わず参加したくなります。

 

次回は最終回。ぜひお楽しみに。